皆さま、こんにちは!NICE ONの四ケ所です。
昨日は、思うような価格で売れなくなった時に、原価計算の考え方の違いで、打つ対策が異なることをお伝えしました。
昨日のブログは、こちらです。
1,000円で売れていた製品が、800円でしか売れなくなったとき、沢山作って原価を下げますか?それとも、沢山売って粗利総額を上げますか?
まず、全部原価計算(FC、フルコスト)と損益計算書には、税務署用としての繋がりがありました。
そして、直接原価計算(DC、ダイレクトコスト)とMQ会計表には、経営者用としての繋がりがありました。
どちらが正しいか?ではなく、どちらも必要です。
でも、私は思います。
税務署用を学ぶ前に、MQ会計を学ぶべきだと。
なぜなら、企業は、数字的な成果を出していかないと、倒産してしまいますから・・
なので、納税のための計算ではなく、意思決定のための数字を大切にして頂きたいなと思っています。
利益が見える戦略MQ会計という本がありますから、ぜひ、ご一読なさって下さいね。
なぜ、直接原価計算(DC、ダイレクトコスト)が提唱されるに至ったか?
それでは、今日の本題に入ります。
製造業の原価計算は、決して良いとは言えないのですが、戦争と共に発達してきたと言えます。
言うまでもなく、戦争は、武器を使って行われます。
歴史を振り返れば、日本は、武器を製造し、輸出することで、経済が発展した時期がありました。
その武器を作るのは、民間の企業です。
その民間の企業が作る武器を、国がいくらで買い取るのか?
ここに、原価計算が使われたのです。
そして、その原価計算とは、先日のブログでお伝えした、材料費・労務費・工場経費の3つを、製造原価として考えるものでした。
全部原価計算のブログは、こちらです。
作った製品の、1個あたりの原価は計算できるのか? 〜全部原価計算と直接原価計算〜
例えば、材料費が200万円、労務費が150万円、そして、工場経費が350万円かかったとします。
合計すると700万円になります。
これが、製造原価になり、300万円の粗利を上乗せして、1,000万円で国に買い取ってもらうような感じです。
まさしく、全部原価計算の考え方になります。
ここで、1つ質問です。
何か、違和感がありましたでしょうか?
これだけなら、何も問題は無さそうですよね。
では、なぜ、直接原価計算が提唱されるに至ったのでしょうか?
まず、この直接原価計算を提唱した2人の論文のタイトルに着目して下さい。
J.N.Harrisが、1936年に書いた論文は、『わが社は先月いくら儲けたか?(What Did We Earn Last Month?)』というタイトルです。
そして、C.N.Kohlが、1937年に発表したのが、『なぜ多くの損益計算書は間違っているのか?』という論文です。
この2人に共通するのは、全部原価計算では、【本当の利益が計算できていないのではないか?】という問いです。
もっと、具体的に言うならば、【作れば作るほど利益が出てしまう】ような計算方法は、正しいのだろうか?ということです。
会社の中には、1円の利益もない。利益は、お客様から頂くもの
ここで、作れば作るほど、なぜ利益が出でしまうのかについて、説明をさせて頂きますね。
問題となるのは、原価の3要素のうち、【労務費と工場経費の2つ】です。
労務費は、工場で働く社員さんの給料でした。
そして、工場経費とは、工場の水道光熱費、家賃、機械のメンテナンス代や減価償却費など、製品を作るために必要な経費でした。
つまり、この2つの要素は、その支払時に【経費処理】されるものです。
では、この2つの何が問題なのでしょうか?
それは、企業会計原則の中にある【費用収益対応の原則】に則り、売れたものに対応する費用しか、経費として認めないというものです。
ここに、電卓を製造販売する会社があったとします。
そして、先ほどの数字をまた使いますが、材料費に200万円、労務費に150万円、そして、工場経費に350万円をかけて、1,000個を製造したとしましょう。
この場合、経営者は、総額で700万円支払っていますので、この700万円は、経費処理されています。
ただし、それが認められるのは、1,000個すべてを販売できたときに限ります。
つまり、1,000個を製造し、1,000個を販売できたのであれば、700万円が経費になります。
ただ、800個しか販売が出来ず、200個が、在庫として残ったとしますよね。
このときは、700万円の製造原価のうち、販売できた800個に該当する560万円が経費として認められ、在庫になった200個に該当する140万円が、経費として認められません。
※700万円÷1,000個=7,000円
7,000円×800個=560万円
7,000円×200個=140万円
つまり、経費ではなく、在庫として【資産計上】されるのです。
では、1,200個を製造し、800個しか販売できなかったら、どうなりますか?
※700万円÷1,200個=5,833円
5,833円×400個=2,333,200円
この金額が資産計上されます。
1,500個を製造して、800個しか販売できなかったら、どうなりますか?
※700万円÷1,500個=4,667円
4,667円×700個=3,266,900円
この金額が資産計上されます。
売上は800個のまま、全く変わらないにも関わらず、【経費として認められない金額がどんどん大きくなり】、利益が増え続けます。
この利益は、本当に利益と言えるのだろうか?
これが、J.N.HarrisとC.N.Kohlの問いなのです。
私のTOCの師匠であるソフトパワー研究所の清水信博所長は、会社の中には、【1円の利益もない】と仰います。
私も、そう思います。
利益とは、お客さまから頂くものですよね。
また、作れば作るほど利益が出てしまう制度だからこそ、【黒字倒産】する企業が増えてしまうのだと思います。
皆さまは、どう思われますか?
制度上の利益(恣意的に出た利益)よりも、【本当の利益】を出したいと思われませんか?
その本当の利益とは、MQ会計でなければ、つまり、直接原価計算(DC、ダイレクトコスト)でなければ計算できません。
明日からは、実際にMQ会計を使って、本当の利益を出すことができた2つの事例について、書いていきたいと思います。
いよいよ始まります。
私自身、本当に楽しみです!
今回もまた、ブログ筋トレ中の文章を最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。
ブログ筋トレVol.249
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