理論値を出す仕組みが会社を良くする 〜あるパン屋さんの物語 連載第6回〜

皆さま、こんにちは!NICE ONの四ケ所です。


昨日は、経営者の数字に対する意識の5段階と、日次決算についてお伝えさせて頂きました。


昨日のブログは、こちらです。
過去を見る月次から、未来を見る日次決算へ 〜あるパン屋さんの物語 連載第5回〜


まずは、数字は苦手・・・と避けるのではなく、苦手だと言えない程の【想い(野望・ビジョン)】を持つことが、すごく大事です。


逆に言えば、何としても実現したい想いがあるのであれば、数字を武器にした方が、その差額を計りながら前に進むことができます。


そして、理想と現実のギャップである問題を、いかに解決しながら理想に向かうのか。


昨日、お伝えさせて頂いた、日次決算の縦軸を達成率にすれば、その進捗を見える化することも可能です。


数字は、皆さまの想いの実現を後押ししてくれます。


ぜひ、数字力を高める訓練をなさって下さいね。



理論値を出す仕組みが会社を良くする

昨日のブログにて、月次決算の数字と、日次決算の数字が、どうしても合わなかったことはお伝え致しました。


実は、合わなかったのは、粗利総額の数字でした。


ここで、粗利総額の数字の出し方について、改めて復習したいと思います。


月次決算の場合は、売上高から、売上原価を差し引いた金額が、粗利総額になります。


そして、売上原価とは、期首商品棚卸高+商品仕入れ−期末商品棚卸高で求めます。


なので、月次決算では、粗利総額の把握のためには、在庫の棚卸をする必要があるのです。


一方で、日次決算の粗利総額は、1品から得られる粗利×販売数量で計算できます。


この粗利総額の数字が、月次と日次で、どうしても合わなかったのです。


社長は、月次決算の原価率の数字が、1つ1つの値付けからすると高い気がすると仰いました。


そこで、西研究所の西先生から教わっていた、会計恒等式(in-out-残)を使うことにしました。


下の図をご覧下さい。





例えば、前日の夜に小銭入れを見ると、10円が入っていたとします。


翌日、お母さんが90円のお小遣いをくれました。


そのお小遣いを合わせて、手持ち現金の中から80円のアイスクリームを買いました。


すると、今夜の小銭入れの残高は、20円になりますよね。


これが、会計恒等式になります。


これを、このパン屋さんで使ってみることにしました。


これで、どのパンの粗利が間違えているのかを、探ろうと思ったわけです。


日次決算をするために、日々の販売データはとり始めましたので、これが、OUTのデータとして使えます。


ということは、INである、何を何個作ったかが分かれば、理論値の在庫数量が計算できます。


すると、粗利総額が合わない原因が絞られてきますよね。


もし、理論値の在庫と実値の在庫数量に乖離があれば、INかOUTに間違いがあることになります。


そして、在庫に間違いがないのであれば、パンの単品データのM(1品から得られる粗利)が間違っていることになります。


会計恒等式とは、恐ろしいものです。


INとOUTが正しければ、理論値としての在庫金額は正しくなるはずです。


しかし、このパン屋さんでは、製造した数量と販売した数量の差額からすると、もっとパンが在庫として残っていないとおかしい・・となりました。


そこで、まずは、作った数量が正しいのかを検証をしました。


そして、正しいことが分かりました。


そうなると、販売が漏れているのか・・、あるいは、パンの持ち出しか・・


それしか、原因が残らないのです。


結論は、パンの持ち出しが起きていました。


その犯人が分かったときの衝撃は、言葉が出ませんでした。


日次決算の精度を高めるために導入した会計恒等式が、このような事態に繋がるとは・・


正直、会計恒等式を導入したことが、このパン屋さんにとって良かったのかどうか、思い悩んだときもありました。


ただ、社長から、これで良かったと言って頂いたとき、すごくホッとしたことを、今でもハッキリと覚えています。


このパン屋さんの事例は、これまで、研修の講義の中ではお伝えしておりましたが、こうやって、ブログに書くことで、私自身の整理になりました。


また、応援のメッセージを数多く頂き、やはり、分かりやすい事例なのだなと改めて思いました。


明日からは、ある石鹸屋さんの事例について、書いてみたいと思います!


今回もまた、ブログ筋トレ中の文章を最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。


今後とも、どうぞ宜しくお願いします。


ブログ筋トレVol.255

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    ABOUTこの記事をかいた人

    四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)
    NICE ON株式会社(ナイスオン) 代表取締役。

    「粗利最大化」と「粗利最速化」を信条に、1年後の利益幅を最大97.5倍にした他、直近では、300万円の利益だった企業の教育を担い、4年間で7,000万円の利益にまで引き上げた実績を持つ。

    MG開発者の(株)西研究所西順一郎氏、そして、(株)ソフトパワー研究所清水信博氏に師事し、企業の健康を司る【氣(社風)・血(お金)・水(業務フロー)】に関する社内研修を展開している。

    【これから100年を志す企業を、絶対に守り切る土台づくり】を使命とし、赤字スパイラルから黒字スパイラルへの思考のシフト、全体最適思考の経営を指導している。

    1974年佐賀生まれ。関西学院大学法学部卒。

    保有資格

    ■西研公認MGインストラクター
    ■SP研公認最上級TOCインストラクター(日本第1号資格取得者)
    ■STR認定コミュニケーションマスター(世界第1号資格取得者)
    ■TOC‐ICO国際認定 思考プロセスジョナ登録