〇〇からのOEMを受けるか否か? 〜ある石鹸屋さんの物語 連載第5回〜

皆さま、こんにちは!NICE ONの四ケ所です。


昨日のブログでは、2種類の原価計算について、少しだけ触れてみました。


昨日のブログは、こちらです。
労務費と工場経費は原価?固定費? 〜ある石鹸屋さんの物語 連載第4回〜


その中で、すごく乱暴だなとは思いつつも、下の図を、説明無しにアップしてみました。





皆さまは、この図から、何を読み取りますでしょうか?


今日は、この図について、しっかりと説明させて頂こうと思います。



〇〇からのOEMを、受けるか否か。 その判定基準とは?

この図は、全部原価計算と直接原価計算という2つの原価計算について、表したものです。


左側が、全部原価計算です。


そして、右側が直接原価計算になります。


私は、税理士事務所に勤めているときは、バリバリの全部原価計算の考え方でしたが、西研究所の西順一郎先生とのご縁により、バリバリの直接原価計算の考え方で、経営を見るようになりました。


もちろん、全部原価計算の考え方で、税務申告をしなければならないことは、重々承知しております。


ここで、お伝えしたいことは、経営において、【意思決定に使える原価計算】は、どちらなのか?という意味です。


では、本題に入ります。


先ほどの図を、再度ご覧下さい。





赤線が2本引いてありますが、この線は、売価(値が下がってきている状態)を表していると思って下さい。


上の赤線は、どちらの考え方だったとしても、原価の上に引いてありますので、多いか少ないかは別として、粗利が取れています。


それでも、左側の全部原価計算の考え方では、思ったうような粗利が取れていないので、ここまで売価が下がると、この石鹸屋さんの社長は、外注依頼の意思決定をしていました。


もし、皆さまが経営者であれば、どうなさいますか?


左と右の考え方では、判定基準となる数字に、多いなる違いが出ると思いますよね。


あ、もしかすると、その前に、1つ、疑問に思われているかもしれませんね。


右側の直接原価計算は、労務費と工場経費を、無視しているのではないか?と。


でも、そうではありません。


直接原価計算では、労務費と工場経費は、販売数量に比例して増減しないので、固定費として考えているだけで、その金額を無視しているわけではありません。


つまり、労務費と工場経費を、売上原価として考えるのか、あるいは、固定費として考えるのかが、この2つの原価計算の違いなのです。


それでは、売価が、2本目の線まで落ちてきたら、どうされますでしょうか?


この石鹸屋さんの場合は、このラインまで売価が落ちてきたら、受注拒否の意思決定をしていました。


私は、この受注拒否という意思決定に、NO!という考え方を、社長にお伝えしたのです。


それは、左側の全部原価計算では、原価割れをしていると考えているのですが、右側の直接原価計算では、原価割れをしているとは考えていないからです。


それは、直接原価計算の考え方からすると当然というか、もし、販売数量が増えるのであれば、MQ(粗利総額)が増やせると思っているのです。


だからこそ、販売数量が見込めるのであれば、受けましょうと。


如何でしょうか?


私は、すごく変なことを言っているように聞こえますでしょうか?


それとも、その通りだと思われますでしょうか?


この石鹸屋さんの社長の場合は、経営者になってから数十年、全部原価計算にて経営を考えていますので、私が言う直接原価計算の考え方を、そう簡単に受け入れるわけにはいきませんでした。


ただ、私としても、売価は低いですが、〇〇からのOEMを受注する方が、これまでとは全く違った利益体質になると思っていますので、一歩も引くことが出来ませんでした。


最終的には、期間限定ということで、そのOEMを受注することに、社長が合意して下さいました。


なぜ、合意して下さったのか。


今でも、その理由を聞かせて頂いたときのことを思い出すと、とっても面白いのですが、【原価割れをしているとは思ったけど、〇〇さんの販売数量を考えると、利益が出るような気がした・・】ということでした。


もはや、全部原価計算の理論が崩壊していますよねw


しかし、これが、経営者の嗅覚なのでしょうか。


結果的には、この意思決定が、利益10倍、30倍へと繋がっていきました。


下の図が、まずは、OEMの判断基準を直接原価計算にした初年度の結果です。


〇〇さんのOEMを期間限定にて受注しましたので、平均P(売価)が約30円落ち、逆に、Q(販売数量)が154万個増えました。


何も追加投資をせずに、この販売数量分の製造は出来ましたので、利益が130万円から1260万円になりました。





そして、その翌年には、利益が3000万円近くまで行きましたので、元々の利益体質からすると、約30倍まで伸びたことになります。


ただ、直接原価計算の判断基準によるOEMの受注だけで、30倍までいったわけではありません。


平均P(売価)のダウンがものすごく気になりましたので、Pアップの戦術も考えての結果でした。


次回は、全部原価計算の意思決定で得ていたものと、失っていたものというテーマで書いてみたいと思います。


第6回に続く。


今回もまた、ブログ筋トレ中の文章を最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。


今後とも、どうぞ宜しくお願いします。


ブログ筋トレVol.263

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    ABOUTこの記事をかいた人

    四ケ所 秀樹(しかしょ・ひでき)
    NICE ON株式会社(ナイスオン) 代表取締役。

    「粗利最大化」と「粗利最速化」を信条に、1年後の利益幅を最大97.5倍にした他、直近では、300万円の利益だった企業の教育を担い、4年間で7,000万円の利益にまで引き上げた実績を持つ。

    MG開発者の(株)西研究所西順一郎氏、そして、(株)ソフトパワー研究所清水信博氏に師事し、企業の健康を司る【氣(社風)・血(お金)・水(業務フロー)】に関する社内研修を展開している。

    【これから100年を志す企業を、絶対に守り切る土台づくり】を使命とし、赤字スパイラルから黒字スパイラルへの思考のシフト、全体最適思考の経営を指導している。

    1974年佐賀生まれ。関西学院大学法学部卒。

    保有資格

    ■西研公認MGインストラクター
    ■SP研公認最上級TOCインストラクター(日本第1号資格取得者)
    ■STR認定コミュニケーションマスター(世界第1号資格取得者)
    ■TOC‐ICO国際認定 思考プロセスジョナ登録